幸せを運ぶ十七音

 

■立山の北壁削る時雨かな
(棟方志功)
 
■わが魂は海獣ならんと欲す
(石原慎太郎)
 
■不二筑波一目に見えて冬田面
(三遊亭圓朝)
 
■ぼたん雪が流れに消える 鳥の羽おと
(河村目呂二)
 
■夏の野に幻の破片きらめけり
(原 民喜)
 
■ギヤマンの船だす秋の港かな
(竹久夢二)
 
■寒鯉やたらひの中に昼の月
(小津安二郎)
 
■御山のひとりに深き花の闇
瀬戸内寂聴)
 
■間断の音なき空に星花火
夏目雅子)
 
■蓬餅あなたとあった飛騨の夜
吉永小百合)
 
■秋の陽をまぶたに乗せて駱駝ゆく
吉行和子)
 
■にごり江に夕日のあはし鴨下ル
市田ひろみ)
 
■天涯に一粒落ちて冬木立
(中島誠之助)
 
■菜の花の群れから離れ独り咲く
(増田明美)
 
■稲妻の去り行く空や秋の風
(稲妻雷五郎)
 
■顔見世や奈落に消ゆる御曹司
(大澤孝征)
 
■亡き妻が眠りし庭に彼岸花
(日野原重明)
 
■秋灯机の上の幾山河
(吉屋信子)
 
■陽炎に狐ふりむき消えにけり
(吉村 昭)
 
■目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹
(寺山修司)
 
■水難の茄子畠や秋の風
(若尾瀾水)
 
■花はみな四方に贈りて菊日和
(宮沢賢治)
 
■村の子がくれた林檎ひとつ旅いそぐ
(渥美 清)
 
■春雨やジヨツトの壁画色褪せたり
(高村光太郎)
 
■行き暮れてここが思案の善哉かな
(織田作之助)
 
■さみだれの墨染衣濡らしをり
(松本幸四郎)
 
■うちの子でない子がいてる昼寝覚め
(桂 米朝)
 
■何もかも言ひ尽してや暮の酒
(三島由紀夫)
 
死なば秋露の干ぬ間ぞ面白き
(尾崎紅葉)
 
紫陽花や身を持ちくづす庵の主
(永井荷風)
 
春服の色教へてよ揚雲雀
(太宰 治)
 
■人去つて空しき菊や白き咲く
(芥川龍之介) 
 
■古郷を磁石に探る霞かな
(平賀源内)
                 
■秋立つやたたうに残るうすじめり
(福永武彦)
 
■鐘つけば銀杏ちるなり建長寺
(夏目漱石)
 
 

                  

            

                                 

  つれづれなるままに

 

■日本植物学の父・
 牧野富太郎の俳句 
 
■市川團十郎代々の俳句

■奈良より多武峯、そして山科へ

■原爆詩人・峠 三吉の未収録句

■歌舞伎役者・坂東彌十郎の俳句

■猫の俳句ー彫刻家・朝倉文夫

■彫刻家・北村西望の俳句

■陶芸家・小野珀子と俳句 

■コロナ禍における俳句

■建築家・山田 守の俳句      

■節分ー追儺、豆撒き、
 そして恵方巻へ 
 
■土屋文明と俳句
 
■江戸川乱歩の俳句    
 
■車持君与志古娘
 
■新元号 「令和」
 そして〝梅花の宴〟
 
■グレイクリスマス 
                                
■「今」 を詠む俳句で
 「過去」 を詠むメソッド
 
■写生と取り合わせ
 
■命の俳句
 ー狼となる金子兜太                
 
■風紋~青のはて2017~
 -宮沢賢治の終着
 
■天皇の白髪
 
■伊勢偉智郎の絵と
 いせひでこ、そして柳田邦男
               
■保武と忠良、
 そして坂井道子の句
 
■俳句への道(加藤楸邨)
                
■それでも鷹は飛んで行く
                  
■根岸庵律女
 
■銀河鉄道の恋人たち
 ーミュージカル・エレジー
 
■完了・存続の 「し」 について   

■『風叙音』 第十号刊行祝賀会  

■相良凧と友ゆうぎ    

■先生のオリザニン  

■三Hクラスの俳人たち

■ジャズライブより
 ーMALTA&銀座スウィング

■松井茂樹の光と翳

東 悠紀恵の美の世界

■最長老ジャズ・ピアニストの死                                 

■アイリーン・フェットマンの絵画

■マリー・ローランサンと堀口大學

                   

                                                 

  風叙音・fusionの和

             

■八木 健さんの句
 ―滑稽俳句の世界

          

              

                                         

  俳句は楽し―吟行記

         

■鳩山会館から旧古河庭園へ
 ー関口芭蕉庵・細川庭園
 
■川越ー喜多院・本丸跡・
 蔵造りの町並み界隈
 
■横浜ー山下公園・中華街・
 元町・山手界隈

■赤坂・迎賓館・四谷界隈

■鎌倉

■小石川後楽園・神楽坂・
 湯島天神・旧岩崎邸

■深川界隈

■上野・根岸

■葛飾柴又

■戸定が丘歴史公園

■21世紀の森と広場

■京都・大津吟行記

■飛鳥・吉野吟行記

          

                              

  受贈句歌集

        

■風薫る

■疑似幾何学者のほほえみ

句集 墨水

句集 一都一府六県

■花もまた

句集 街のさざなみ

■はじまりの樹     

■鬼古里の賦

■微熱のにほひ

■森の句集               

■大輪靖宏句集             

■槙

■こでまり

■路地に花咲く

■伊東肇集

■精霊蜻蛉

■鯊日和

■いのちなが

■過ぎ航けり

■夏の楽しみ

■福寿草

■月の兎

                   

      

            

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風叙音・fusionでは、一緒に俳句を楽しむ仲間を募集しています。

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  今日の一句                  (2012年3月-12月)

年の夜や言つてしまをか胸の内 笙鼓七波            

  12月31日(月)

かくまでに氷柱の微笑連なれり 笙鼓七波     

  12月30日(日)

石庭の波の音聞く冬座敷 笙鼓七波          

  12月29日(土)

駆落ちの朝に霜踏む津軽かな 笙鼓七波      

  12月28日(金)

寒柝やひたと月下を巡りをり 笙鼓七波              

  12月27日(木)

寒の夜を零れきたれし灯りかな 笙鼓七波      

  12月26日(水)

感嘆符ばかりが踊る年の暮 笙鼓七波               

  12月25日(火)

暦買ふ静謐なれる推理かな 笙鼓七波          

  12月24日(月)

賀状書くまでが優柔不断なり 笙鼓七波       

  12月23日(日)

一陽来復もの皆影の縮まりて 笙鼓七波       

  12月22日(土)

一陽来復月長石の微笑なり 笙鼓七波        

  12月21日(金)

古日記鏡の中に寓話あり 笙鼓七波           

  12月20日(木)

蛇の目傘静々進む雪先斗 笙鼓七波                   

  12月19日(水)

遭難の人は生真面目山眠る 笙鼓七波                 

  12月18日(火)

湯豆腐や摑みどころのなき人と 笙鼓七波                 

  12月17日(月)

湯豆腐や傾城町(けいせいまち)の白き色 笙鼓七波   

  12月16日(日)

湯豆腐や店の先より暮れ初むる 笙鼓七波             

  12月15日(土)

くわんおんと風の音せし蓮の骨 笙鼓七波     

  12月14日(金)

冬眠の蛇の大蛇(おろち)に成りし夢 笙鼓七波    

  12月13日(木)

湖北より湖南に浮きし鳰(かいつぶり) 笙鼓七波    

  12月12日(水)

殺生の穢れを浄む雪止まず 笙鼓七波         

  12月11日(火)

殺生石青銅(ブロンズ)色の冬の霧 笙鼓七波      

  12月10日(月)

三井寺の晩鐘ゆたり枯野道 笙鼓七波        

  12月9日(日)

小春日や鳥獣虫魚跳ねてをり 笙鼓七波             

  12月8日(日)

枯れ朽ちし遊行柳に氷雨かな 笙鼓七波          

  12月7日(金)

冬銀河君も往くのか十万億土 笙鼓七波         

  12月6日(木)

(な)は見たか錻力となりし冬三日月 笙鼓七波 

  12月5日(水)

冬の朝迷走都市を透視せり 笙鼓七波                 

  12月4日(火)

天狼の脈拍海に寄す波穂 笙鼓七波          

  12月3日(月)

海鳴りの音映しゐる障子かな 笙鼓七波       

  12月2日(日)

冬霧や誰何するやに風立ちぬ 笙鼓七波      

  12月1日(土)

かくれんぼ遊びのいつか冬籠 笙鼓七波             

  11月30日(金)

冬の瀧一句一章とゞろけり 笙鼓七波                  

  11月29日(木)

噴水の鉛と垂るゝ冬の園 笙鼓七波           

  11月28日(水)

陰獣の鼓動孕みて山眠る 笙鼓七波          

  11月27日(火)

逢引の女と来る時雨かな 笙鼓七波         

                                                                                                                                by anieto2k

  11月26日(月)

雲巖寺真一文字に霧上る 笙鼓七波                    

  11月25日(日)

先斗町ぽん太に逢へず冬構 笙鼓七波        

  11月24日(土)

風狂を追へどもつかず冬ざるゝ 笙鼓七波      

  11月23日(金)

出迎へし近江女将や裘(かはごろも) 笙鼓七波     

                                                                              by Reinis Traidas

  11月22日(木)

冬の湖(うみ)三井の晩鐘渡りけり 笙鼓七波               

  11月21日(水)

枯園に水琴窟の調べかな 笙鼓七波           

  11月20日(火)

鎧をばだらり開けたる凩よ 笙鼓七波                

  11月19日(月)

風呂吹きの十字呆ける幸なるや 笙鼓七波     

  11月18日(日)

雨音の外は音断ち翁の日 笙鼓七波          

  11月17日(土)

廻廊の時雨つゝみて茅の寺 笙鼓七波                 

  11月16日(金)

豹の斑の宵になじみて暮易し 
笙鼓七波                

  11月15日(木)

翁ゐて篠突く雨の破芭蕉 笙鼓七波    季節の花 300

  11月14日(水)

北塞ぐ北に鋼の使者あらば 笙鼓七波               

  11月13日(火)

短日や訊いておきたき吾が出自 笙鼓七波               

  11月12日(月)

首根つこ捉へて青し大根(だいこ)かな 笙鼓七波   

  11月11日(日)

仔狐の忘れてゆきし枯葉かな 笙鼓七波       

  11月10日(土)

冬めきて首を畳みしキリンかな 笙鼓七波      

  11月9日(金)

唄忘れ胸そるばかり冬の鵙 笙鼓七波        

  11月8日(木)

冬立つや北へ鉄路の途絶えをり 笙鼓七波     

  11月7日(水)

山門は人だかりなり紅葉散る 笙鼓七波       

  11月6日(火)

人は皆紅葉に聚ひ紅葉散る 笙鼓七波       

  11月5日(月)

逝く秋や鳶のひよりて二次曲線 笙鼓七波      

  11月4日(日)

神のみぞ知ること多し神無月 笙鼓七波       

  11月3日(土)

風立ちて瀬田の唐橋離れ鴨 笙鼓七波                 

  11月2日(金)

鷹一羽地球がぐらり転回す 笙鼓七波         

  11月1日(木)

野菊摘む定(き)まりは寅次郎(とら)の戀わづらひ 笙鼓七波   

  10月31日(水)

林檎むく友の話にすり替へて 笙鼓七波       

  10月30日(火)

よその妻借りて脱兎の運動会 笙鼓七波       

  10月29日(月)

団栗の落つるを聞けりけもの径 笙鼓七波     

  10月28日(日)

口紅の盛り多くして十三夜 笙鼓七波          

  10月27日(土)

野紺菊陸(をか)に揚がりし舟の底 笙鼓七波         

  10月26日(金)

京ひとり紅葉の虚妄襲ひけり 笙鼓七波       

  10月25日(木)

檀の実タイムカプセル裂けにけり 笙鼓七波     

                                                                          季節の花 300

   10月24日(水)

三門や紅葉の海に浮かぶごと 笙鼓七波      

  10月23日(火)

楓橋ざんざ渡りて紅葉づる 笙鼓七波          

   10月22日(月)

瓢の実の名をぞ識らずに音を知れり 笙鼓七波    

   10月21日(日)

許されぬ戀よ揺らぎて律の風 笙鼓七波       

  10月20日(土)

茱萸知らぬ子等の皆グミ食べにけり 笙鼓七波 

  10月19日(金)

共同の幻想うづき風の秋 笙鼓七波           

  10月18日(木)

とかくして踊りの跳ねて秋更けて 笙鼓七波     

  10月17日(水)

秋意抱へ男等乗り来ロープウェイ 笙鼓七波    

  10月16日(火)

金柑に喉を潤すかくれんぼ 笙鼓七波         

  10月15日(月)

団栗のコロンとなりて落ちにけり 笙鼓七波              

  10月14日(日)

中空にサフラン海のかをりたち 笙鼓七波      

  10月13日(土)

月明の誤算や錆びたナイフ捨つ 笙鼓七波          by GxAce 

  10月12日(金)

葡萄摘む風の恵みをいただきて 笙鼓七波      

                                                                          季節の花 300

   10月11日(木)

蘆の海軈て穂絮の風となり 笙鼓七波           季節の花 300

  10月10日(水)

無花果の熟れてその人溜息す 笙鼓七波             

  10月9日(火)

宇宙から言霊降りて十六夜 笙鼓七波                  

  10月8日(月)

稲妻や遺影の喪主にうりふたつ 笙鼓七波    

                                                                           by Matt Bidduph

   10月7日(日)

老犬の舌の縮まる朝の秋 笙鼓七波          

  10月6日(土)

秋蝶のさて陥穽に散華せり 笙鼓七波         

  10月5日(金)

秋の蝶疾風に絹の翅たたむ 笙鼓七波         

  10月4日(木)

柘榴裂く昔の戀を語る人 笙鼓七波            

  10月3日(水)

秋の蝶風のかけらに吹かれをり 笙鼓七波      

  10月2日(火)

虚空まで捲き上げられし秋の蝶 笙鼓七波         

  10月1日(月)

けふはよく会話重なる良夜かな 笙鼓七波        

  9月30日(日)

ぬばたまの牧之原なり鉦叩 笙鼓七波           

  9月29日(土)

SLの煙縫ひたり花芒 笙鼓七波               

  9月28日(金)

二とせや海の色見てトロ秋刀魚 笙鼓七波     

  9月27日(木)

月昇り八尾は遠き風の郷 笙鼓七波          

  9月26日(水)

胡弓の音月を忘れて唄ひけり 笙鼓七波      

  9月25日(火)

立山に似合ひの月のかかりけり 笙鼓七波     

  9月24日(月)

好きと訊き嫌ひと応ふ律の風 笙鼓七波                

  9月23日(日)

秋晴や鳶の来りて放物線 笙鼓七波          

  9月22日(土)

秋晴の野原よ地球背負ひたり 笙鼓七波            

  9月21日(金)

けんけんぱわれからの戀あるやなし 笙鼓七波          

  9月20日(木)

天匂ひ金木犀の感応す 笙鼓七波            

  9月19日(水)

人戀うて戀の苦しみ曼珠沙華 笙鼓七波              

  9月18日(火)

沈黙も饒舌もゐて曼珠沙華 笙鼓七波                

  9月17日(月)

甘露なる紅玉紫玉葡萄食む 笙鼓七波        

  9月16日(日)

一粒の葡萄膨らむほつぺかな 笙鼓七波      

  9月15日(土)

ぶつぶつと牡鹿独語し横ぎれり 笙鼓七波          

  9月14日(金)

生きるとは不測のドラマ鳥渡る 笙鼓七波      

  9月13日(木)

べらばうめ言うてみたもの雁の列 笙鼓七波    

  9月12日(水)

蝗飛ぶ駿河を越えて遠江 笙鼓七波                    

  9月11日(火)

一枚のキャンバスとなり秋澄めり 笙鼓七波    

  9月10日(月)

牧之原や草雲雀鳴きやまざりし 笙鼓七波                 

  9月9日(日)

群とんぼ水脈の流れに従ひて 笙鼓七波      

  9月8日(土)

赤蜻蛉勝つて知つたる火の國を 笙鼓七波          

  9月7日(金)

水蜜桃夜の時間にまとはりて 笙鼓七波        

  9月6日(木)

花カンナ女の唇(くち)のやはらかき 笙鼓七波           

  9月5日(水)

(たなごころ)よりからみたる桃の蜜 笙鼓七波     

  9月4日(火)

風の盆法被の子等の風を切る 笙鼓七波     

  9月3日(月)

ぬけうらを抜けて待ち伏す風の盆 笙鼓七波              

  9月2日(日)

風に生(あ)れ風に死すらむ風の盆 笙鼓七波  

  9月1日(土)

飯倉の角の茶店や八月尽 笙鼓七波                   

  8月31日(金)

吾が心まとまりきらず八月尽 笙鼓七波    

  8月30日(木)

花野往く吾が魂の意のまゝに 笙鼓七波       

  8月29日(水)

聴診のラッセル音の秋めけり 笙鼓七波       

  8月28日(火)

皆高く脊比べせしか女郎花 笙鼓七波        

  8月27日(月)

撫子のたゞあるがまゝ咲きにけり 笙鼓七波    

  8月26日(日)

紫の流れて雨の桔梗かな 笙鼓七波          

  8月25日(土)

白萩のこぼれて風のとほりみち 笙鼓七波 季節の花 300

  8月24日(金)

処暑の節ここにこの戀きはまれり 笙鼓七波    

  8月23日(木)

酔芙蓉戀のゆくゑの見え隠れ 笙鼓七波       季節の花 300

  8月22日(水)

八月を象の隊列運び往く 笙鼓七波         

                                                                         by frederic.salein

  8月21日(火)

花カンナ口調の強きをんなかな 笙鼓七波            

  8月20日(月)
   

八月の雑多クリップにとめおけり 笙鼓七波         

  8月19日(日)

天泣や落居の里の夕ひぐらし 笙鼓七波        

  8月18日(土)

八重雨のやみて蜩夕日かな 笙鼓七波       

  8月17日(金)

ぎしぎしと輪蔵廻る盆の月 笙鼓七波                

  8月16日(木)

やゝこしき話はあした盆の月 笙鼓七波                

  8月15日(水)

蜩のこゑより樹液匂ひたち 笙鼓七波                  

  8月14日(火)

飼ひ犬の舌やのびたり秋暑し 笙鼓七波       

  8月13日(月)

蓮の水凝固散逸ほとばしる 笙鼓七波               

  8月12日(日)

繪具から白ふきだして酔芙蓉 笙鼓七波     

  8月11日(土)

透きとほる原初の色や白芙蓉 笙鼓七波      

  8月10日(金)

底紅の咲くたとふれば淑のごと 笙鼓七波    

                                                                          季節の花 300   

  8月9日(木)

白芙蓉風を孕みて透けにけり 笙鼓七波       

                                                                          季節の花 300

  8月8日(水)

下駄ならし双葉朝顔買ひゆけり 笙鼓七波              

  8月7日(火)

神々に届けと鈴のユッカかな 笙鼓七波        季節の花 300

  8月6日(月)

吾が心棒ぐにやりと撓む溽暑かな 笙鼓七波   

  8月5日(日)

居心地の悪げに早桃鎮座せり 笙鼓七波      

  8月4日(土)

月下美人息を濃くして見つめをり 笙鼓七波    

                                                                          季節の花 300   

  8月3日(金)

人生の刻剥ぐごとく汗流る 笙鼓七波                  

                                                              by Nicholas Kennedy Sitton  

  8月2日(木)


水打つや「織田作」居りしバーの路地 笙鼓七波        

  8月1日(水)

逆旅にて出遭ひがしらに水中(あた)る 笙鼓七波  

  7月31日(火)

(したた)るや木魚の音の高調子 笙鼓七波         

  7月30日(月)

隠れ瀧低き高きに音落つる 笙鼓七波                 

  7月29日(日)

くたくたの提燈たたむ祭跳ね 笙鼓七波       

  7月28日(土)

白日傘件(くだん)のをんな佇(た)ちゐたり 笙鼓七波          

  7月27日(金)

水を打つ曲りさうなるこころにも 笙鼓七波               

  7月26日(木)

夏帽の転がるあれが吾が故郷 笙鼓七波      

  7月25日(水)

森の夜噴井(ふけゐ)寂かに独白す 笙鼓七波     

  7月24日(火)

繪団扇のをんなの聲の妖(なまめ)けり              

  7月23日(月)

ころころと鬱を転がし泥鰌(どぢやう)鍋 
笙鼓七波   

  7月22日(日)

しあはせは那辺にあるや夏の月 笙鼓七波   

                                                                                     by SheldonPhotography

  7月21日(土)

花魁草汝(な)が帯解きし真夜の風 笙鼓七波    季節の花 300

  7月20日(金)

夕闇になほ際立ちて黄菅咲く 笙鼓七波       季節の花 300

  7月19日(木)

熱波来てさらはるゝごとひと死ぬる 笙鼓七波                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         by /\lex

  7月18日(水)

しづくなほ一しづく夕立(ゆだち)なる 笙鼓七波         

  7月17日(火)

恬として吐血のごとき夕焼かな 笙鼓七波      by scott1723

  7月16日(月)

かくまでに海月(くらげ)の如き胸の内 笙鼓七波               

  7月15日(日)

脳天に紅蓮(ぐれん)走れりかき氷 笙鼓七波        

  7月14日(土)

蟭螟(せいめい)や吾らとて皆宇宙人 笙鼓七波                                            

                                                                                 by Stinging Eyes

  7月13日(金)

水天の蓮よ光陰寂まれり 笙鼓七波                   

  7月12日(木)

ぬばたまの夜や真白の烏瓜 笙鼓七波        季節の花 300

  7月11日(水)

橋づくし三つ渡りて納涼(すずみ)けり 笙鼓七波    

  7月10日(火)

蟭螟(せいめい)や宇宙人てふ児のあふれ 笙鼓七波  

                                                                             by fdecomite

  7月9日(月)

教会の十字揺らげる溽暑かな 笙鼓七波      

  7月8日(日)

夜濯もしてゐるふしのアライグマ 笙鼓七波     

  7月7日(土)

片戀をひとつ置き去る青林檎 笙鼓七波       

  7月6日(金)

雑魚ばかり曳きずられゆく熱砂かな 笙鼓七波  

  7月5日(木)

夜を嗤ひ蠢く花の烏瓜 笙鼓七波       季節の花 300

  7月4日(水)

一山の滴るや散り迸る 笙鼓七波                      

  7月3日(火)

病葉や補色なりたる紅緑 笙鼓七波                    

  7月2日(月)

蓮の葉に固まり散りて水の撥ね 笙鼓七波              

  7月1日(日)

太虚下に繪巻展ぐる花菖蒲 笙鼓七波                 

  6月30日(土)

指間からこぼれゆく君合歓の花 笙鼓七波     

  6月29日(金)

読点のくねりて迯(に)ぐる雲母虫(きららむし) 笙鼓七波     、、、

  6月28日(木)

花ダチュラ在日といふ翳を踏み 笙鼓七波      季節の花 300

  6月27日(水)

黒百合を剪るマイケルの逮夜なれば 笙鼓七波  季節の花 300

  6月26日(火)

花茗荷くれなひ色の風の筋 笙鼓七波                   

  6月25日(月)

脳髄の赤が危ない夏帽子 笙鼓七波                   

  6月24日(日)

慰霊の地時を失くして佛桑花 笙鼓七波       

  6月23日(土)

虎尾草(とらのを)のアクサンのごと撥ねてをり 七波 

                                                          季節の花 300

  6月22日(金)

風草の静止を知らず風の道 笙鼓七波         季節の花 300

  6月21日(木)

散る条理散らぬ節理の水中花 笙鼓七波                 

  6月20日(水)

青岬真白き椅子の置かれをり 笙鼓七波       

  6月19日(火)

佇めばあぢさゐ山の風を聴く 笙鼓七波                

  6月18日(月)

父の日のぶつきらばうな短電話 笙鼓七波     

  6月17日(日)

琥珀なる尻のやうなる辣薤かな 笙鼓七波     

  6月16日(土)

薄絹の紫衣に黄泉あり茄子の花 笙鼓七波     

  6月15日(金)

葉柳や梳りゆく濠の風 笙鼓七波             

  6月14日(木)

ぼろゝんとぼろんかづらの刻うてり 笙鼓七波  

  6月13日(水)

おのおのが剣の舞のグラジオラス 笙鼓七波  季節の花 300

  6月12日(火)

グラジオラス一途の愛の重さかな 笙鼓七波    

  6月11日(月)

髪洗ふ少女が少女やめるとき 笙鼓七波     

                                                                          by Lauren Treece

  6月10日(日)

白無垢の花嫁佇てり杜若 笙鼓七波          季節の花 300

  6月9日(土)

南風(みなみ)吹く遠流の島の黄八丈 笙鼓七波    

  6月8日(金)

白鷺や青鷺とゐて静寂なり 笙鼓七波         

  6月7日(木)

やませ吹くみちのくに散る佛達 笙鼓七波      

  6月6日(水)

久遠より風の風呼ぶ風知草 笙鼓七波 季節の花 300

  6月5日(火)

木下闇魂(たま)を吸ひ込む磁場ありて 笙鼓七波  

  6月4日(月)

(てん)として昏るゝ浮巣のありにけり 笙鼓七波  

  6月3日(日)

(ばん)笑ひ沼静謐にたそがれり 笙鼓七波     

  6月2日(土)

葉擦れして雨気の広ごる茂りかな 笙鼓七波   

  6月1日(金)

ねぢあやめ変体仮名の葉書の来 笙鼓七波             

  5月31日(木)

骰子(さいころ)を縦に積み上げジギタリス 笙鼓七波 季節の花 300

  5月30日(水)

青葉風言葉の余白読むごとく 笙鼓七波       

  5月29日(火)

枝蛙雨の重さを量りけり 笙鼓七波            

  5月28日(月)

まひまひののの字うごかずひもすがら 笙鼓七波 

  5月27日(日)

萬緑といふ樹液満つ森の夜 笙鼓七波                 

  5月26日(土)

脳髄に萬緑といふ樹液満つ 笙鼓七波        

  5月25日(金)

芥子の花レーテの淵に眠りをり 笙鼓七波            

  5月24日(木)

ゆきかへど気づくものなし柿の花 笙鼓七波   

                                                                          季節の花 300

  5月23日(水)

ぼうたんの開きて静寂(しじま)定まりぬ 笙鼓七波        

  5月22日(火)

饒舌な薔薇よ黙(もだ)して風聴けり 笙鼓七波    

  5月21日(月)

はぢらひの君よ花桐が咲いてゐる 笙鼓七波    

  5月20日(日)

麦の秋五百重(いほへ)の波の立ちにけり 笙鼓七波 

  5月19日(土)

萬緑や億万光年闇を見つ 笙鼓七波          

  5月18日(金)

富士を背に卯波怒濤の砂競馬 笙鼓七波      

  5月17日(木)

女坂なんぢやもんぢやの雪化粧 笙鼓七波     

  5月16日(水)

書庫裏の風の渡りや薔薇二本 笙鼓七波               

  5月15日(火)

初恋といふ名の薔薇の透きとほり 笙鼓七波             

  5月14日(月)

母の日に母尋ふ魚の臭ふ町 笙鼓七波        

  5月13日(日)

揚羽来て「尋芳径(はなとふこみち)」辿りけり 笙鼓七波         

  5月12日(土)

罌粟(けし)の花風の数だけ罅(ひび)となり 笙鼓七波 

  5月11日(金)

つばめ魚飈々として翔びすがふ 笙鼓七波     

  5月10日(木)

心平を訪ひしも鳴かぬ昼蛙 笙鼓七波                   

  5月9日(水)

浮浪の徒文なす影の紋黄蝶 笙鼓七波                  

  5月8日(火)

藤の花しだいに盛る奥州路 笙鼓七波         

  5月7日(月)

藤房の逆波立てて昼の月 笙鼓七波                     

  5月6日(日)

柳洩る川面に跳ぬる魚の影 笙鼓七波                 

  5月5日(土)

桜蘂降るおどろなる赤き月 笙鼓七波         

  5月4日(金)

雲丹を裂く青空高く割れにけり 笙鼓七波       

  5月3日(木)

限りなき喜悦に瞑る初蛙 笙鼓七波           

  5月2日(水)

眠る蝶虚妄の夢の色に染む 笙鼓七波        

  5月1日(火)

瀝青(れきせい)の河面に群るゝ小灰蝶(しじみてふ) 笙鼓七波      

  4月30日(月)

粉蝶や緬紗(モス)のヴェールを纏ひをり 笙鼓七波         

  4月29日(日)

蝶羽振く赫(かがよ)ふ虚空風絶えて 笙鼓七波             

  4月28日(土)

カシミール超ゆる胡蝶の翅震へ 笙鼓七波             

  4月27日(金)

戦場(いくさば)の劫火を翅に迯(に)ぐる蝶 笙鼓七波         

  4月26日(木)

金色の燦と煌く黄蝶かな 笙鼓七波                   

  4月25日(水)

てふてふの舞ひつ旋(めぐ)りつ葉簇(はむら)の上(へ)          

  4月24日(火)

山藤の天より垂るゝ暮の色 笙鼓七波          

  4月23日(月)

野馬止めの堤や馬酔木咲かせをり 笙鼓七波          

  4月22日(日)

勲章の形に匂ふからたちぞ 笙鼓七波     季節の花 300

  4月21日(土)

をだまきや宇宙遊泳してをれり 笙鼓七波               

  4月20日(金)

花樝子(しどみ)手折らば棘さす朱の眉目 笙鼓七波  

  4月19日(木)

寂寞(じやくまく)を風に裹(つつ)みて二人静 笙鼓七波    季節の花 300

  4月18日(水)

悲愴とは薊の棘に宿りけり 笙鼓七波          

  4月17日(火)

山吹や色を重ねて七重八重 笙鼓七波         

  4月16日(月)

螢烏賊海に零しし星の屑 笙鼓七波                 

  4月15日(日)

迷宮の入口で待つ朧月 笙鼓七波              

  4月14日(土)

興津鯛言祝(ことほ)ぎ謳ふ花顔かな 笙鼓七波     

  4月13日(金)

花散るや大和三山風の城 笙鼓七波          

  4月12日(木)

全山を風の渡りて花しぐれ 笙鼓七波                   

  4月11日(水)

花の雨君が波長の重なりぬ 笙鼓七波         

  4月10日(火)

(うべな)へる朱唇(しゆしん)に花の流れをり 笙鼓七波         

  4月9日(月)

天窓に阿吽のひかり復活祭 笙鼓七波                   

  4月8日(日)

奥千本億千万の花の宴 笙鼓七波             

  4月7日(土)

花疲れ花のすさびに酔(ゑ)ひしれて 笙鼓七波   

  4月6日(金)

薄紅の獣匿せり花衣 笙鼓七波               

  4月5日(木)

丈六の慈悲の微笑み佛の座 笙鼓七波                 

  4月4日(水)

黎明に燦爛と在る春の蝶 笙鼓七波                    

  4月3日(火)

月光に涅槃さ迷ふ雪柳 笙鼓七波             

  4月2日(月)

マネキンの嫣然とせる萬愚節 笙鼓七波       

  4月1日(日)

紅蓮なる春迷宮で待ち合はす 笙鼓七波       

  3月31日(土)

月日貝波の奏づる小宇宙 笙鼓七波             

  3月30日(金)

アマデウスを奏づる番屋養花天 笙鼓七波     

  3月29日(木)

麗けし宇宙の呉るゝ天頂環 笙鼓七波         

  3月28日(水)

霾天(ばいてん)やいづちともなく月に暈 笙鼓七波   

  3月27日(火)

(つちふる)や乾坤に舞ふ簡体字 笙鼓七波       

  3月26日(月)

天白の杜が膨らむ百千鳥 笙鼓七波                 

  3月25日(日)

百千鳥風を厭うて風を愛(め)す 笙鼓七波       

  3月24日(土)

囀りや天使のとほることもある 笙鼓七波              

  3月23日(金)

潮騒や鋏を婆娑と潮招 笙鼓七波             

  3月22日(木)

無窮の天海燕の翳空よぎる 笙鼓七波          

  3月21日(水)

鷹鳩に化してぞ吾は鷹に化す 笙鼓七波       

  3月20日(火)

光風やそよぐ葉簇(はむら)のあはひあり 笙鼓七波 

  3月19日(月)

日永とて動かしてみる吾が孤影 笙鼓七波     by IT169

  3月18日(日)

みづいろの玻璃(はり)に紅さす春陽かな 笙鼓七波   

  3月17日(土)

涅槃西風(にし)受けて片帆のここかしこ 笙鼓七波          

  3月16日(金)

お涅槃や海潮音の鳴りやまず 笙鼓七波        

  3月15日(木)

菜の花や明るき風を近江まで 笙鼓七波       

  3月14日(水)

大陸の幻化となるや君子蘭 笙鼓七波       

  3月13日(火)

結香(むすびき)の花よかうべを風に遣り 笙鼓七波  

  3月12日(月)

やはらかきみづをたゝへて真菰の芽 笙鼓七波         

  3月11日(日)

穢れなき少年のごと蘆の角 笙鼓七波            

  3月10日(土)

花貝母磁場を感じて地に咲けり 笙鼓七波        

                                                                           季節の花 300

  3月9日(金)

やはらかに眠りを誘ふ野芥子かな 笙鼓七波    

  3月8日(木)

約束の数だけ鈴の花きぶし 笙鼓七波         季節の花 300

  3月7日(水)

天つ日を拒みし菫楚々として 笙鼓七波                 

  3月6日(火)

パンジーの明眸そこにあればこそ 笙鼓七波     

  3月5日(月)

鮮血のアネモネよ風孕みたり 笙鼓七波        

  3月4日(日)

蒼穹の陥穽に咲く辛夷かな 笙鼓七波         

  3月3日(土)

菜の花の色を映して碧海(あをみ)かな 笙鼓七波   

  3月2日(金)

佐保風や君が眸に名残雪 笙鼓七波          

  3月1日(木)

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